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園紹介「魅力ある職場づくり」

「魅力ある職場づくり」に取り組む県内の保育園・認定こども園を紹介

 

第6回『社会福祉法人慈雲学舎 ひかり泉こども園』(羽島市)

R2.7.1現在 児童105人 職員(正規18人・非正規14人)

 「質の高い保育を目指し続ける園でありたい」
これがひかり泉こども園が目指したものであり、これまで園として「働き方改革」を目標に掲げたことは一度もありません。しかし、質の高い保育を目指すためには、おのずと保育者の働きやすい環境の整備が必要と感じることが多くありました。まだまだ変革の途上ではありますが、私たちの取り組みをまとめてみました。

数年前、私たちは認定こども園への移行をきっかけに、今、行っている保育が本当に子どもの育ちのためになっているのかを問い直しました。そこではっきりしたのは私たちが真剣に取り組むべき改革は「保育」であることでした。年間行事からおむつ替えの場面などの細かい部分にいたるまで一つひとつ見直しを行いました。それは、これまでの価値観を大きく変えなければならないことも多く、本当に大変な作業でした。何度も話し合いを重ね、外部講師を招いたり、少しでも視野が広がるように、正規職員からパート職員まで県内外の多くの園を何度も見学させていただいたりするなどの取り組みも行いました。
質の高い保育を求めることは、これまで何気なく行ってきたことが本当に必要なことなのかを問うことから始まります。協議や試行錯誤を繰り返した結果、「保育者にとって」や「保護者にとって」ではなく「子どもにとって良い保育」を追求・模索できる組織に少し近づいたように感じています。あらゆる保育場面についてそれを繰り返し行った副産物として職員の働き方にも変化が生まれたように思います。

取り組み①:行事のあり方を見つめ直す

日々の遊びや生活の中でこそ子どもは育つということを職員全体で確認・共有していく中で、行事のあり方に疑問が生まれました。数多くあった発表会などの行事をやめることで、子どもたちが練習漬けの毎日から解放されることはもちろん、職員の製作物も激減し、早く帰宅できるようになりました。誰のためか分からない保育室の壁面製作を一切なくしたことも良い影響をもたらしました。また、日々の保育を充実するために保育士数を増やしたことによって、結果的に職員の有給休暇取得率は毎年90%を超えるようにもなりました。

取り組み②:高い専門性を要する職業であることへの矜恃を持つ

管理職者ではなく保育士が、県内外の園を何度も見学させていただいたり、海外研修へ参加したりするなどして、多くの専門性の高い保育者と関わることで、保育するという仕事の意義深さを改めて認識できるような機会を多くもつようにしました。
「保育者=だれでもできる仕事、有給休暇を取得できない、低賃金の職業」ではなく「保育者=人間形成にとって重要な乳幼児期に関わる、高い専門性が必要な職業」という矜恃を保育者自身が持ち、子ども理解を深めるため懸命に研鑽することは低賃金悪条件の環境では不可能です。研修や保育者自身の努力で獲得した専門性を存分に発揮できる環境と、専門性に見合った報酬を得ることができるよう、今後もあらゆる部分の見直しを図っていきたいと思っています。

取り組み③:今後行っていきたいこと

子どもや保護者と深く関わることのできる保育の仕事ですが、仕事として他業種の方との交流は少なく、狭い園内でのルールや価値観が常識となりがちです。ややもすると、その常識は希望に満ちた子どもたちの世界の広がりを阻害するものになりかねません。そこで、園内での旧態依然とした常識の変容には時には外部からの刺激が必要と考え、これまで管理職者が責任をもって行ってきた外部と関わる多くの機会を、今後はなるべく現場の保育者に任せていきたいと思っています。
昨年度は市と協力してコミュニティバスの車内を子どもたちが飾りつけをするというイベントをしましたが、企画から実現するまで長期にわたって、市の担当者との打ち合わせ等は保育士が主となって進めることができました。
また、子どものあそびの充実には豊富な種類のおもちゃが必要となりますが、クラスの子どもたちの発達にはどのようなおもちゃが良いのかを保育者が考え、カタログやWebサイトで探し、問い合わせの連絡や見積もりを取るなど、内部決裁後の注文までを保育者が行う機会を多くしました。
このように他業種の方々との仕事上での関わりは、保育の専門性を培う園内外での研修では養成できない、社会人としての力を付ける絶好機会として期待をしております。

保育者が様々な経験をして保育者自身の世界が広がれば、子ども達の世界が広がっていくための援助の幅も大きくなると考えています。そのためにも、有給休暇を活用し視野を広げる体験をしやすいような労働環境を整えたり、他業種の方とお仕事をさせていただく機会を多く設けることを、今後も積極的に取り組んでいきたいと思っています。

 

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